宮台真司/社会学者
社会批評的な軸が真っ直ぐ通った映画がやっと出た。監督のこれまでの映画の優しさを全く裏切り、全てを覆い尽くすクソつまんない社会への、強烈な怨念を突きつけた。僕たちが心の奥に密かに持ち続けてきた感情を暴露したのだ。
望月衣塑子/新聞記者
近年、LGBTQにまつわる作品が注目を浴びてきましたが、その中でも『車軸』はLGBTQやジェンダーの問題の枠を超え、生きるとは何かを問う素晴らしい映画です。
潤と真奈美の聖也を交えた3人の描写は、エロティシズムよりプラトニックな繋がりの強さを感じ、良い意味で期待を裏切られました。若い松本監督の優しいけど、鋭い性に対する感性が光る作品です。
熊篠慶彦/『パーフェクト・レボリューション』原案者
平凡な食事の後に描かれる、過激なシーンの数々を観て、真奈美の精神分析をしてみたくなった
宇賀那健一/映画監督
「生きることに不器用な人間達が、生きるために必死に空気を吸おうとする様がスクリーンのそこかしこにこびりついていて、それはとても哀しくて美しくて愛おしくて、いつまででも観ていたかったです」
山口征浩/起業家
まっすぐに生きようとする3人。もっと綺麗に生きたっていいんだよ、汚れなくたっていいんだよ。でもできないよね。観ているのがつらい、つらすぎた。二度と観たくない最高の映画。
谷内田彰久/映画プロデューサー
これは、現代『貴族』の物語だ。 歌舞伎町、ホスト、ゲイ、クレカ、全ての単語が『貴族』を形付かせる”鍵”となって深みへとはまっていく主人公の女に僕は嫌悪感を伴った共感を抱いた。
この映画がもつ文化的価値を見出そうと思考を巡らしてるうちに退廃的な気持ちに陥らせる覚醒剤に思え、脳裏に残る最後の言葉は・・・ 『今ならまだ抜け出せると思ってるうちに、もう全ては終わって、始まってる。』
三木美毅/演出家、俳優
虚しい現実クソ社会から性愛を通して抜け出し、真の自分を探っていこうとする真奈美のもがきに共鳴しました!
小佐野彈さんの原作小説が素晴らしいのだと思いますが、松本准平監督のシナリオと映像センスにも痺れました。
相葉英雄/作家
「生、性、静、精。不穏、渇望、宿痾。本物の人間の声を聞け。ここには全部詰まっている」
Amir Bogen/ライトハウス国際映画祭のアーティスティックディレクター
おそらく今年の映画祭で最も挑戦的で挑発的な大胆な作品であろう!フランスの作家であり哲学者であったジョルジュ・バタイユは、当時最も破壊的な文学を生み出し、その言葉を通して愛、人間関係、そして倒錯的と見なされるものを考察した。高い評価を得ている日本の映画監督、松本准平は、バタイユの文章、言葉、文字、句読点を、登場人物と私たちを極限まで追い込む現代劇として映画化した。物語の舞台は、派手なネオン、無機質な高級レストラン、暗い路地......そんな東京で、3人の登場人物(2人の男と1人の女)が交流する。会話し、食事をし、セックスをする。彼ら自身、彼らの家族、そして社会との間の複雑な関係が、非常にクローズアップされている。その結果は、ある人にとっては衝撃的なほどぶっきらぼうで、ある人にとっては残酷なほど正直かもしれないが、バタイユの挑発的な小説『マダム・エドゥアルダ』を、複雑な現代に新たな命を吹き込む勇気を持った才能ある監督の創造的な頭脳から生まれたものであることは明らかだ。
辰巳満次郎/能楽師
「車軸が無ければ走れない。己が試されることを突きつけられた」
蔦井孝洋/撮影監督
ロングショットからアップに、客観から主観へ、ドキュメントからドラマへと流れてゆくように、スタンダードの画角が3人の無様さを容赦なく映し出す。 まるで、自らが4人目のキャストになったかのような錯覚に陥る、残酷なファンタジー。